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  • 執筆者の写真弁護士高橋 広希

投稿の削除請求をしたいとき

更新日:2021年12月17日

インターネット上の誹謗中傷が原因とされる痛ましい事件があり,法改正の議論も出てきています。

当事務所においても,インターネット上で誹謗中傷されているとご相談頂くことがあります。


インターネット上で誹謗中傷された場合に,行うことは大別すると以下のとおりとなります。

  • 削除請求

  • 発信者情報請求

  • 検索サイトにおける検索結果の削除請求

  • 発信者(書き込んだ人物)に対する損害賠償請求

  • 刑事告訴


それぞれに適した法的手続等を行うことになります。


ご相談頂く中で多いのは,匿名掲示板やブログなどで誹謗中傷されているので,削除したい,書き込んだ人物を特定したい,というものです。


削除請求や発信者情報開示請求をするためには,自分の権利(名誉権,プライバシー権,肖像権など)が侵害されていることが必要です。


自分の権利が侵害されているかの判断にあたっては,インターネット上に書き込まれている内容が正に自分に対してなされているかどうかの判断が必要です。フルネームが記載されていても,同姓同名の他人のことの可能性があります。一方で,伏字であったり,名字だけの記載(ペンネームなどの場合も含む)であっても文脈や他の記載から同定することができれば,権利が侵害されているということができます。


削除請求を行う流れの概要としては,以下のとおりです。

①サイト管理者に対する任意の削除依頼

サイトごとに削除依頼の方法が異なりますので,まずは,サイトの削除依頼の方法や利用規約を確認します。そのうえで,サイトの方法に沿った削除依頼を行います。

②送信防止措置依頼書の送付

削除依頼のフォームがない(書面による削除依頼のみ受け付ける場合もあります),またはサイトの方法に沿った削除依頼をしても削除されない場合には,サイト管理者等(注1)に「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」(一般社団法人テレコムサービス協会の書式)(サイトによっては専用の書式が用意されている場合があります)を送付し,削除を求めます。

ご自身で削除の依頼を行う場合には,インターネット違法・有害情報相談センターを活用することもご検討頂いたほうがよろしいかもしれません。

③削除の仮処分

サイト管理者等が任意の削除に応じてくれない場合には,法的手続きへと進んでいくことになります。

削除請求をする法的手段としては,民事訴訟によることも可能ですが,早期の削除実現のため,侵害情報の削除を求める仮処分命令を裁判所に申し立てることになります。

④削除請求訴訟

仮処分命令が認められれば,削除が実現されるため,通常の民事訴訟を利用するメリットがある場合(担保が不要である点など)にのみ利用することになります。


発信者情報開示請求については,別記事にて紹介したいと思います。


当事務所では,インターネット上の誹謗中傷などのトラブル(書き込まれた側,書き込んだ側の両方に対応しています)に関する法律相談を取り扱っておりますので,お悩みのある方はお問い合わせ下さい。



【注について】

注1 プロバイダ責任制限法に規定する特定電気通信役務提供者(法2条3号)とは,営利・非営利にかかわらずウェブホスティング等を行う者や第三者が自由に書込み可能な電子掲示板を運営している者とされています。したがって,電気通信事業法(昭和59年法律第86号)に規定する電気通信事業者だけでなく,大学,地方公共団体,電子掲示板を管理する個人等も含まれます(参照:プロバイダ責任制限法名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン第4版(プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会))。


【関連条文】

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称:プロバイダ責任制限法)

第2条 (略)

三 特定電気通信役務提供者 特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう。

第3条 特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。

一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。

二 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。

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