• 弁護士高橋 広希

発信者情報開示請求の手順(爆サイの場合)

更新日:3月11日

爆サイのスレッドの投稿で誹謗中傷されたり,プライバシーをされてしまった場合に,投稿者を特定する際の手順について,解説致します。


1 投稿の証拠化

対象となる投稿(レス)を証拠化する必要があります。いつ投稿されたものなのか,それが公表(インターネット上にアップ)されているものであるということが明らかになるように,スクリーンショット画像を取得するのが望ましいです。ブラウザから印刷する場合には,対象となる投稿のURLが載るように印刷します。

爆サイに関しては,投稿者自身であっても削除パスを設定していない限り,任意に削除できませんので,その点は証拠化に有利に働きます。


名誉毀損など,読んだ人の受け取り方が問題となるような場合には,対象となるレス番号を引用した投稿なども証拠化し,一般読者の読み方について,主張を補強できるものを準備します。


2 爆サイに対する発信者情報開示請求

サービス提供者である爆サイに対して対象となる投稿のIPアドレスの開示を求めます。

爆サイでは書類の送付先などを公表していませんので,専用のフォーム(下記画像)から申請します。



大手プロバイダのログの保存期間は,短いところですと3ヶ月程度とされることが多く,爆サイからIPアドレスが開示されたとしても,プロバイダにログが保存されていなければ,その後の手続に進んでいくことができません。したがって,対象となる投稿(レス)を発見した場合,すぐに手続きの準備を進めるべきです。


上記の専用フォームから申請をすると,爆サイから手続きの方法について記載したメールが届きます。

そして,記載内容にしたがって,爆サイから指定された書類を送付します。

この際に気をつける点としては,プロバイダによっては,接続先IPアドレスや接続元ポート番号が特定のために必要であると要求されることがありますので,爆サイに対して投稿者のIPアドレスと一緒に開示を請求する必要があります。


3 爆サイから開示された発信者情報をもとに発信者の接続プロバイダの特定

爆サイから開示されたIPアドレスから発信者が接続したプロバイダを特定します。

当職の経験上,爆サイからは,IPアドレスの開示は比較的受けやすいという印象を持っています。

爆サイからの任意の開示を待っていては,ログの保存期間が経過しそうなどの事情がある場合には,爆サイに対して,発信者情報開示請求の仮処分を行うことになります。


4 接続プロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟

接続プロバイダに対して,発信者情報開示請求書を送付するなど任意の開示請求をする方法があります。


接続プロバイダは,発信者情報開示請求があった場合には,発信者(接続プロバイダの契約者)に対して意見照会書を送付し,発信者情報の開示に応じるか否かについて照会します。この段階で,発信者は自身の発信について開示請求がなされていることを認識することが多いです。


発信者が開示に同意しない場合でも,接続プロバイダが任意に開示するケース(著作権侵害などで権利侵害の証明が確かな場合など)もあるようですが,発信者が開示に同意しないときは,接続プロバイダは,ほぼ任意の開示はしないとされています。


したがって,多くの場合では,接続プロバイダに対して,発信者情報開示請求訴訟を提起することになります。


訴訟で解決するまでに通信ログが消去される可能性がある場合には,予め,接続プロバイダに対して通信ログ保存の請求を行う必要があります。


訴訟の場合,管轄は接続プロバイダの住所地となりますので,多くの場合,東京地方裁判所になります(大手プロバイダは東京に本社がある)。自分の住所地を管轄とする方法もありますが,現在は,電話会議・ウェブ会議による期日への出頭も可能ですので,管轄が大きな妨げにはならないとは思います。


本案訴訟では,同定可能性,権利侵害の有無,違法性阻却事由の有無などを争点として争われることになります。


5 接続プロバイダから開示された発信者情報をもとに発信者の特定

本案訴訟における開示を認める判決(または発信者からの開示についての同意)により,接続プロバイダから発信者の情報が開示されれば,発信者の特定が完了することになります。


6 発信者に対して損害賠償請求

開示された情報をもとに,発信者に対して,損害賠償請求等を行っていくことになります。


開示されるのは,接続プロバイダの契約者の情報になりますので,必ずしも実際の発信者ではないという場合もあります。開示された契約者の情報が,法人であったり,ホテルなどの施設であったりするケースもあります。こういった場合には,実際の発信者を特定するまでにもうひと手間かける必要があったり,場合によっては実際の投稿者の特定を断念せざるを得ないような場合もあります。


損害賠償請求の方法は,任意の支払いを求める交渉と訴訟提起のいずれかによります。まずは任意の支払いを求め,拒否や無視をされたり,希望する金額に応じてくれない場合に訴訟を提起するという手順を踏むことが多いですが,最初から訴訟提起するという方法を選択しても問題ありません。


7 発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合

前述のとおり,爆サイからは任意のIPアドレスの開示を受けやすいことの裏返しとして,爆サイに投稿した内容については,接続プロバイダに対する任意の開示請求を行いやすいということにもなりますので,投稿した人に接続プロバイダから発信者情報開示請求に係る意見照会書が届く可能性も高いということになります。

接続先プロバイダから発信者情報開示請求に係る意見照会書が届いたからといって,直ちに投稿した内容が違法だと判断されたわけではありません。意見照会書が届いたら,投稿の内容を確認したうえで,適切に対応をすることによって,その後の事態の悪化を防ぐことは可能かもしれませんので,早期の相談をご検討下さい(発信者情報開示に係る意見照会書に関する詳細な記事はコチラ)。




からんこえ法律事務所では,インターネット上の誹謗中傷などのトラブル(削除請求,発信者情報開示請求などの被害者側の対応や,請求者との交渉による示談交渉,請求者から訴えられた訴訟対応,発信者情報開示に係る意見照会書の回答書の作成業務など投稿者側のいずれにも対応しております。)に関する法律相談を取り扱っておりますので,お悩みのある方はお問い合わせ下さい。



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