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  • 執筆者の写真弁護士高橋 広希

内容証明郵便による通知

はじめに,内容証明郵便とは何かという点を解説します。


内容証明郵便とは,一般書留郵便物の内容文書について証明する日本郵便株式会社のサービスです。

日本郵便株式会社のホームページでは,「いつ,いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを,差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度」と説明が記載されています(根拠条文:郵便法48条1項など)


内容証明郵便自体には,訴訟や支払督促などとは異なり,法的な効力があるわけではありません。また,文書の内容が正当であるということを証明するものでもありません。


どういう時に内容証明郵便が利用されるかというと,送付した文書の内容が証明されるという機能を利用し,訴訟等の法的手続において,意思表示の日付や内容等を立証するための方法として利用されることが多いと思います。

クーリングオフや契約解除などの相手方に文書が到達したことが重要な要素になる場合には,「配達証明」というサービスも同時に利用し,内容証明郵便で送付します。


弁護士が代理人として,具体的に利用する場合,多くは以下のケースになるかと思います。


①時効の完成を遅らせるための催告(催告による時効の完成猶予)

時効が差し迫っている中,すぐに訴訟提起することが難しい場合などには,まずは催告(民法150条1項)をし,6ヶ月間の猶予を得ることになります。その際の,文書の内容や基準となる日付を明確にするため,内容証明郵便を利用するということが考えられます。


②契約解除などの意思表示

賃貸借契約の解除をはじめとして,相手方が債務不履行をしたことを理由に契約を解除する場合には,いつ解除の意思表示をしたのかを明らかにするため,内容証明郵便を利用することがあります。

契約の内容によっては,相当の期間を定めて履行の催告を行い,その後に解除するという場合もあり,相当の期間の始期と終期を設定するために利用することもあります。

また,遅延損害金の発生との関係でも,支払期限の日付を明確にすることが一定の効果をもたらします。


③相殺の意思表示

相殺は,当事者の一方から相手方に対する意思表示によって行う必要があり(民法506条1項),相手方にきちんと到達する必要があるため,内容証明郵便が利用されます。

同様に消滅時効を援用することの意思表示のために利用することも多いかと思います。


④法的手続へ移行することの予告

上記とは別に,請求に応じなかった場合には,法的手続へと移行する意思があることを表明し,内容証明郵便を受け取った相手方に心理的なプレッシャーを与えるために利用するということも多いです。

支払期限までに代金が支払われなかった場合や,相手方に対する権利侵害の差し止めを求める警告などにも利用されます。


弁護士から内容証明郵便が届いたことで,相手方に心理的なプレッシャーが与えられ,それまで頑なな態度だった相手方が話し合いに応じたり,すんなり支払ってくるということもあります。

弁護士から内容証明郵便が届くということは,内容を無視をしたりすると,法的手続に移行する可能性が高いことを示唆するものですので,内容次第ではありますが,無視をするのは得策ではありません。



当事者間では協議が整わず,法的手続を検討している場合であっても,弁護士の名前で内容証明郵便による請求等を行うことで,事態が改善することもありますので,まずは内容証明郵便を送るということを検討してみても良いと思います。

反対に,突然,弁護士から内容証明郵便が届いたということで困惑している方も,焦ることなく,きちんと検討したうえで対応することで,法的手続を避けることも可能です。


からんこえ法律事務所では,示談交渉のみでの受任も行っておりますので,お気軽にお問い合わせ下さい。


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