• 弁護士高橋 広希

遺産分割協議手続きの流れ

更新日:2021年11月11日

遺産分割手続きの流れについてご説明致します。


相続は,死亡によって開始します(民法882条)。亡くなった方については,一般に被相続人といいます。

遺産分割とは,被相続人の財産を相続人の間の協議等によって分けることです。相続人は,相続開始の時から被相続人の一切の権利義務(債務も含みます。)を引き継ぐことになりますが,相続人が複数いて,相続すべき財産が土地や建物など複数ある場合には,誰が何を相続するかを決める必要があります。


①相続人の範囲の調査

遺産分割をするにあたっては,まずは,相続人の範囲の調査をすることになります。被相続人に離婚歴がある場合,養子縁組をしている場合や婚外子がいる場合などには,これまでに会ったこともない人が相続人となる場合もあります。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等から相続人の範囲を決めることになります。


②遺言書の有無

法的に有効な遺言書があれば,遺産は,その遺言書の内容に従って分割される事になります。ただし,相続人全員が遺言書とは異なる内容での遺産分割をすることを合意すれば,遺言書とは異なる内容で分割することも可能です。

遺言書の効力に争いがある場合には,遺産分割の前提問題として,民事訴訟によってその有効性を確定させることになります。


③遺産の範囲の確定

被相続人にどのような遺産があるのかを調査し,遺産分割の対象となる遺産の範囲を確定します。一般に不動産,預貯金,株式,生命保険などが遺産となることがほとんどですので,まずはこれらの財産があるかを調査することになります。

遺産の範囲に含まれるか(被相続人の所有か,他の者の所有か)について争いがある場合には,遺産分割の前提問題として,民事訴訟によって遺産の範囲を確定することになります。


④遺産の評価

遺産の範囲が確定した後は,遺産の評価を決めることになります。預貯金については,額面通りということになりますが,不動産については評価方法によって大きく異なることがあります。例えば,不動産の売却を希望する相続人にとっては,不動産は市場価格を前提としたものになりますし,売却を希望しない相続人にとっては,市場価格では高くなるため,評価方法が争いとなったりします。

なお,遺産の評価額は,相続税の申告の評価額と一致する必要はありません。


⑤遺産の分割方法の決定

①から④までに決まった内容を踏まえて,各相続人の特別受益や寄与分を評価して,法定相続分を修正し,各相続人の具体的な取得額を算出します。寄与分や特別受益の事実は,主張する側が根拠となる資料等を提供し,証明していくことになります。


⑥遺産分割協議書の作成

全ての相続人の間で遺産の分割方法が決まったら,遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書を用いて,相続登記をする場合もありますので,専門家に相談し,適切な遺産分割協議書を作成するのが望ましいです。


⑦法的手続き

当事者間で遺産分割協議がまとまらなかった場合,遺産分割調停を申し立てることになります。遺産の分割は調停前置主義の対象となっておりますので(家事事件手続法257条1項),法的手続きとしては,原則として家庭裁判所に遺産分割調停を申立てることから始まります。

調停を経ずに,遺産分割審判を申し立てることは可能ですが,調停を経ないことの理由によっては,裁判所の判断で調停に回されることになりますので(家事事件手続法274条1項),特別な理由のない限りは調停からとなります。

遺産分割調停も,前記の③から⑤を順に決めていくことになります。

遺産分割調停でも協議が整わなかった場合,自動的に遺産分割の審判へ移行し(家事事件手続法272条4項),裁判官が遺産の分割方法を決定します。ただし,遺産の範囲に争いがある場合などには,遺産分割の前提問題として,先に遺産の範囲を確定する必要があります。



からんこえ法律事務所では,遺産分割,遺留分,遺言書作成,特別寄与料,祭祀承継等に関する法律相談を取り扱っておりますので,お悩みがある方はお問い合わせ下さい。



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