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執筆者の写真弁護士高橋 広希

暗号資産(仮想通貨)に関するトラブル

更新日:2021年9月25日


日本における暗号資産(仮想通貨)とは,インターネット上でやりとりできる財産的価値のことであり,資金決済に関する法律(以下「資金決済法」といいます。)第2条5項で定義されています。制定当初は,仮想通貨という名称でしたが,改正により暗号資産(Crypto Asset)と改称されました。

今でも暗号資産という呼び方よりは,仮想通貨という呼び方のほうが定着しているものと思われますが,日本の法律上は暗号資産と呼ぶのが正確ということになります。


私と仮想通貨の出会いは2017年頃でした。友人がFacebookでビットコインの値上がりについて言及していて,ビットコインというものを認識しました。それまでもマウントゴックス事件などでビットコインの話を聞いたことがあったのですが,興味がなかったせいか,気にしておらず,どういったものか理解していませんでした。

最近は仮想通貨に非常に興味がありますので,色々と仮想通貨関連のニュースを追いかけています。ただ,仮想通貨の世界は話題の移り変わりが非常に早く,どんどん話題が変わっていくので,全くついていけてはいません。


資金決済法に関する規制に関してではなく,仮想通貨に関する詐欺などについて,良くある相談をご紹介したいと思います。


仮想通貨に関する相談で多いのは,「値上がりする」「配当がある」という儲け話を信用してしまい,お金を預けたものの,返ってこないというものです。


そういった勧誘は,SNSで連絡が来ることがほとんどのようです。今は,SNSでの交流が当たり前となっていますので,SNSのアカウントしか相手の情報がないということも多く,「ブロックされた」「アカウントが消された」という事情で,後に連絡が取れなくなるということも良く聞きます。

何故SNSで赤の他人に儲け話をするのかをよく考えると,そんな上手い話はないということは理解できると思います。


もちろん友人・知人から誘われるということもあるかと思いますが,リアルな関係の人からよりも,SNSなどで知り合った方との間でトラブルになるケースが多いように感じています。マッチングアプリで知り合った方と金銭トラブルになるということも良く聞きますので,面識がない方や少ない方からの勧誘には気をつける必要があります。



借用書を書いてもらった,預かり証を書いてもらったなど,書面の交付があったことで安心し,大金を預ける方もいらっしゃいます。書面という証拠があったとしても,相手方から現実的に回収するということは別の問題がありますので,書面を取り交わしたからといって,安心はできません

書面の交付すら拒むという方に関しては,後ろめたいところがあるという推定が働きますので,尚更警戒が必要です。



銀行のキャッシュカードを有償で譲渡したりすることが犯罪であるという認識が広まっていると思いますが,暗号資産交換業者(株式会社bitFlyer,ビットバンク株式会社,コインチェック株式会社など)の「他の者と区別して識別することができるように付される符号その他の当該役務の提供を受けるために必要な情報(暗号資産交換用情報)」(ログイン情報等)を有償で譲渡しても同様に犯罪となります(犯罪による収益の移転防止に関する法律第30条)。

よくわからないまま,暗号資産交換業者の口座を開設し,口座のログイン情報を提供してしまったというケース,指定されたサイトにアクセスしたらログイン情報を抜き取られたというケースもありますので,十分に気を付ける必要があります。

犯罪になるということを知らなかったということは,ほぼ通用しませんので,誰かに言われるがまま口座の開設し,そのログイン情報を提供するのは絶対に止めましょう。


ビットコインは2021年5月に史上最高値を更新しました。仮想通貨に関しては,上昇しているときは「もっと上昇する」,下落しているときは「これから上昇する」として投資に勧誘されます。

NFT(Non-Fungible Token)(非代替性トークン)も盛んになってきましたので,今後トラブルになることが予想されます。

特に取引の対象となっている画像自体のコピーが容易ですので,公式ではないNFTを公式と称して売買したり,作品の作成者の許諾を得ずに売買されるということは十分に想定されます。

ブロックチェーンにより,NFTがどのように供給され,どう売られているものなのかということは辿ることはできますので,NFTの取引をする前には確認するのが望ましいと思います。


からんこえ法律事務所では,暗号資産(仮想通貨)に関する法律相談も承っておりますので,お気軽にお問い合わせ下さい。

 

【関連条文】

資金決済に関する法律

第2条5項 この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項に規定する電子記録移転権利を表示するものを除く。

一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの


犯罪による収益の移転防止に関する法律

第30条 他人になりすまして第二条第二項第三十一号に掲げる特定事業者(以下この項において「暗号資産交換業者」という。)との間における暗号資産交換契約(資金決済に関する法律第二条第七項各号に掲げる行為を行うことを内容とする契約をいう。以下この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、暗号資産交換業者において暗号資産交換契約に係る役務の提供を受ける者を他の者と区別して識別することができるように付される符号その他の当該役務の提供を受けるために必要な情報(以下この条において「暗号資産交換用情報」という。)の提供を受けた者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、暗号資産交換用情報の提供を受けた者も、同様とする。

2 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に暗号資産交換用情報を提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、暗号資産交換用情報を提供した者も、同様とする。

3 業として前二項の罪に当たる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

4 第一項又は第二項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第一項と同様とする。


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